良質のサービスを安全かつ速やかに提供する
最近でこそインフォームドコンセント(説明と同意)やQuality OF Life(生活の質)というような言葉が使われだしましたが、以前は医療の内容は全て医師が決定し、これについて医療を受ける側の患者様は十分な評価能力もなければ選択の自由も持たなかった。
また代金を支払う患者側には全く主導権がないのは、医療界だけの特殊性であった。このためいつのまにか主客が転倒し、患者不在の医療が行われてきたのが現実でありました。
二時間も三時間も待たされてわずか数分しか診てもらえない外来患者。
回診を楽にし、看護や介護に便利なようにしつけられる入院患者。
全てこちら側の便益のためであり、患者様の身になっての配慮はほとんど見られないと言っても過言ではなかった。
この患者様の立場に立って考えるという事を忘れると、主客が転倒してしまいます。
医療に限らず、サービスを業とする職種は数多くありますが、サービスを使命とすることを自覚しているものは少ないのです。
少なくとも我々は医療サービス業としての自覚をもち、そこに全ての判断の基準をおくことを身に付けなければなりません。とはいえ、サービスとは難しいものです。
受けた人が「ああよかったなァ」「ありがとう」と思わず口に出して言ってもらった時に
初めてサービスが完成するのであって、よかったと思われなかったり、逆に不満を感じさせたのではもちろんサービスの名には値しません。
医療側の言い分も患者様や利用者からの要望と同じくらいたくさんありますが、しかし医療を志した時の初心を忘れてはなりません。
医療の根本理念が生命を尊ぶことから生まれ、人類への奉仕を目的としていることを考えれば即ち、傷病に悩む生命の救護が使命であるからこそ何よりも患者本位となるのであり、患者様の権利を尊重し患者様の治療・看護・介護に全力を傾けて奉仕すること自体がそのまま生きがいであり、仕事の喜びとなるのです。
このことは医療の道を選んだ我々にとって異論の余地はありません。